FRP貯水タンクの劣化現象

FRPパネル接合部FRP樹脂ライニング工事の必要性

FRPパネルタンクの高架水槽から漏水しているとの連絡を受け下見をしました

側面部パネルと底面部パネルの接合部から漏水していました 

タンクの設置年月日を見ると数年しか経っておりません

まだパネル接合部パッキンの経年劣化で漏水するには早過ぎます

何か他に原因がある筈と推測されました

建物自体はタンクの設置年月よりはるか前のものです

つまりタンクは一度更新されている 取り替えられている訳です

昔の古いタンクの高架台の上に新しいタンクの平架台が置かれています

それが問題で平架台の一部が古い架台に上手く載っておらず隙間があります

ちょうどエの字を書いた部分がそれです

本来この部分は水槽の加重がかかる部分です 

この隙間のお蔭で平架台が新しいタンクの重量で撓みタンク自体が歪んで漏水の原因になってます

タンクの水を抜き加重を軽くしてジャッキアップし支えの金具を設置しました

錆が進行していた古い高架台も下地処理し錆止めを塗布し塗装して仕上げました

これで根本的な漏水の要因は無くなりました

タンク内部から点検します

すると接合部付近にクラックが発生しています

水圧の外に拡がろうとする応力に絶えられず接合部分に近い部分でクラック(ひび割れ)が発生しています

平架台が撓んでいたのでタンク全体のバランスが崩れクラック(ひび割れ)が発生した訳です

地震の時にこの様にタンクが壊れるのも同じ様なメカニズムです

内部パネル接合部FRP樹脂ライニング工事を施します

まず施工部分にサプライマーを塗布します

200mm幅にカットしたガラスマットにポリエステル樹脂を含浸させ3枚に積層したFRP樹脂を丁寧に接合部分に貼り付けて行きます

全ての接合部分にFRP樹脂を貼り付けてライニングが完了します

接合部分が無くなりタンク内部が一体になりました

これでクラック(ひび割れ)部分も全てカバーされ接合部分も無くなり漏水の要因も無くなりました

地震にも強いFRPパネルタンクに生まれ変わりました

きんぱね株式会社では漏水してるから単純に接合部のライニングをしましょうと言う様な安易な工事は致しません

それ故必ず下見の上 不具合の要因を突き止め提案の上お見積もりを出させていただきます

10年以上経過したタンクは一度プロの目による点検が必要です

点検及びお見積もりは全て無料で行っております

きんぱね株式会社 フリーダイヤル 0120-109-513(タンクの恋さ)

お気軽にお電話ください

FRPパネルタンク外部天井部の補強の必要性

天井部の劣化したFRPパネルタンクをそのまま使い続けるとある日突然タンクが破裂する恐れがあります

FRPパネルタンクの天井部は貯水により外に広がろうとする応力を支える役目も果たしています

天井部に補強の梁が入っていないタンクだと全ての応力が天井部にかかってきます

この応力は非常に大きな力で強度が低下した天井部パネルは簡単に破壊する事になります

この応力はヘッド圧とか水頭圧とか呼ばれるもので内側から外に広がろうとする貯水の水圧です

特にこのタンクの様に外補強方式でありながら天井部に梁が入ってないタンクは水圧の外に広がろうとする応力が全て天井部と側面部の継目にかかりクラック(ひび割れ)や大きな割れが発生し最悪の場合はタンクの破断に繋がります

ですから外部天井部FRP樹脂ライニング工事で天井部を補強しておく事が如何に大切かご理解戴けると思います

FRP製貯水タンクの寿命は一般的に15年と言われています
これはタンクを構成するFRP板の基本物性値(引っ張り強度・曲げ強度)が設置後15年で70%まで低下する事から(社)強化プラスチック協会にて設定されている為です
特に屋外設置されているFRPパネルタンクの強度はこれ以上低下している事さえ予想されます
しかし補強さえすれば物性値で70パーセントまで低下した強度も新品よりも強く生まれ変わらせる事が可能です
それがきんぱね株式会社が推奨する貯水タンクリユース工法です

劣化が進んだFRP貯水タンクを放置するとある日突然タンクが破裂してしまう事になります
貯水タンクリユース工法であれば建物がある間はFRP貯水タンクも補強・補修して使い続ける事が出来ます

下見のうえ点検報告及びお見積もりも全て無料で行います
10年以上経過している貯水タンクはぜひ一度安全点検してみては如何でしょうか?

フリーダイヤル 0120-109513(タンクの恋さ)

お気軽にお電話ください^^

FRPパネルタンクの漏水のメカニズム

FRPパネルタンクになぜ漏水が発生するのか再考したいと思います

FRPパネルタンクはFRPパネル1枚1枚ををボルトで締結し その接合部には止水の為に弾力のあるパッキンを挟み込んでいます
ボルトは一定のトルクで締結されておりパネル接合部にはパッキンが挟み込まれる隙間がある訳です

この図はFRPパネルタンクの接合部の断面です
通常の状態ではボルトを支点としてバランスが保たれています
満水時はタンクの水位が上昇しタンクを外に広げようとする応力がかかります するとボルトを支点に接合部の内側が広がり外側が狭まります
減水時はタンクの水位が下降しタンクが内に戻ろうとする応力が勝ります するとボルトを支点に接合部の内側が狭まり外側が広がります

貯水タンクは水位の上下が必ずあります つまりこの動作が何千何万回と繰り返されることになります
挟み込まれているパッキンはシリコンゴムであったりウレタンゴムであったりとタンクメーカーに素材の違いはありますが基本的には非常に弾力のあるものです
パッキンは何千回何万回と繰り返されるパネル接合部の動作に追従し止水と言う役目を果たすのです
しかし年月を経ることによりパッキンが硬化してこの動きに追従出来なくなり押し出されたりあるいは押しつぶされたままになり接合部に隙間が出来て漏水が発生するのです

漏水が発生したからと言って漏水している近辺の締結ボルトを増し締めしたりされていることがよくあります 
一時的には漏水は止まるかもしれません しかし逆に一定のトルクで締められているボルトを増し締めする事によりパネルタンク全体のバランスが崩れ数日後によりいっそう漏水が酷くなります

FRPパネルタンクの漏水

FRPパネルタンクは止水のために、パネルの接合部にパッキンを挟み込んで貯水できるようにした構造体です。

FRPパネルタンクは水の出入り、つまり水位の上下がある事で、常に水圧の負荷を受けています。
その時にFRPパネルの接合部はわずかですが水位の変化にともなう水圧の変化で微妙な膨張・収縮による動きが生じます。
そして絶えずこの動きが繰り返されています。この動きに追従できる弾力のあるパッキンを止水材として挟み込んでいる訳です。

FRPパネルタンク設置後年数を経る事でこのシーリング材の弾力がなくなり、止水機能の低下で漏水が発生する訳です。
FRPパネルタンク接合部からの漏水を放置していると水道水料金を無駄にするばかりでなく、タンクの外補強材、パネル組立ボルト、またタンクを支えている架台が腐蝕し、2次的な要因でタンクの破壊につながります。
パネルの組立ボルトは雨水などがかかる分には問題ありませんが塩素を含む水道水が供給されると飛躍的に腐食することになります。

サプライマーEX 向かって左から A剤、B剤、C剤

ではどう言う風にすればこの漏水が止められるのか?
内部のFRPパネル接合部にFRP樹脂を貼り付けて一体にしてしまう、つまりパネルの接合部をなくしてしまえば漏水の要因がなくなり、今後漏水の心配もなくなります。

でもここで問題になるのがサンディングと言う作業なんです。
FRPの上にFRPを貼り付ける為には、接着面のサンディングが不可欠です。
サンディングとはサンダーと言う電動の工具を使って、接着させようと思う面を削る作業です。サンディングをして接着面積を大きくして、アンカー効果(樹脂が表面に染み込んでくっつく様子)を利用しないと十分な接着力が得られないからです。
しかし空のタンクの中でこのサンディング作業を行なうと、とんでもない大きな騒音とおびただしい粉塵が発生して、通常であればタンク設置場所での補修・補強工事は無理なものとされています。

その問題を解決する為に、きんぱね㈱はFRP用のノンサンディングプライマーの「PTSサプライマーEX」を開発しました。

「PTSサプライマーEX」を刷毛で塗っている様子

「PTSサプライマーEX」のA剤、B剤、C剤を混ぜ合わせて刷毛で施工面に塗るだけです。
とんでもない大きな騒音もおびただしい粉塵も発生、一切発生しません。その上「PTSサプライマーEX」は古くなったFRPパネル板と新たに貼り付けるFRP樹脂を分子構造で結合させるので従来のサンディングに比べて接着力が強く完全に一体化します。このおかげでFRPパネルタンクの設置場所での補修・補強が可能になったのです。

パネルの接合部にFRP樹脂を貼り付けている様子

後はFRP樹脂を順番にFRPパネル接合部に貼り付けていきます。全てのFRPパネル接合部をタンク内部からFRP樹脂を貼り付けて行く事で、タンクの内部が一体になり漏水の要因がなくなり、今後漏水の心配もなくなります。
これを内部パネル接合部FRP樹脂ライニング工事と言います。

内部パネル接合部FRP樹脂ライニング工事の施工後

阪神大震災でのFRPパネルタンクの破壊の様子ですが、パネルの接合部が破壊しています。これはパネル接合部はボルトで締結されているツバ状になっているので強度が非常に高い訳です。ですからこの強度の高い部分とFRPパネルの間に一番荷重がかかり割れてしまっているのです。
この部分にタンク内部からFRP樹脂を貼り付けるので強度が格段にアップします。

阪神大震災でのFRPパネルタンクの破壊の様子

内部パネル接合部FRP樹脂ライニング工事を施工すれば地震にも強いタンクに生まれ変わります。

FRPパネルタンク内部の劣化現象

FRPパネルタンク内部の気相部(水面より上の部分)、つまり天井部の組立ボルトは著しく腐蝕してタンク強度に影響を与えます。
パネルとパネルを締結する組立ボルトは通常、側面部・底面部はタンクの外にあり、天井部の組立ボルトのみタンク内部に位置します。

腐蝕した気相部(天井部)組立ボルト

平成5年以降防錆ボルトの使用が義務付けられて、現在は錆びない樹脂皮膜ボルトが使用されています。

積水の防錆ボルト   ブリヂストンの防錆ボルト

平成5年以前のFRPパネルタンクではステンレスやスチール鋼に電気メッキしたものが使われています。これらのボルトは確実に錆が発生し、その度合は若干違っても腐蝕が進行します。

天井部のボルトが腐蝕すると貯水を汚染するばかりでなく、FRPパネルタンクはその構造上、水圧で外に開こうとするタンクの応力を天井部自体で支えているのがほとんどで、強度が低下すると地震のスロッシング現象に耐えられなくて破裂したりします。

この写真は工業試験センターで各種ボルトに塩水を噴霧し216時間後の腐蝕具合を確認したものです(JIS-Z-2371塩水噴霧試験)
左側からスチールボルト・防錆処理ボルト・防錆キャップ取付ボルト・電気メッキボルト

216時間後の結果
スチールボルト~赤錆発生 防錆処理ボルト~赤錆発生 防錆キャップ取付ボルト~異常認めず 電気メッキボルト~白錆発生
防錆キャップ取付ボルト以外はすべて錆が発生しています。

錆が発生する要因としては、タンクに水道水が入るときに水道水中に含まれる遊離塩素が分離し、ガス化して気相部に滞留して濃い塩素ガスになります。
タンク内部の気相部は、絶えず結露で濡れた状態になっていますので天井部のボルトに付着した水滴に濃縮された塩素ガスが溶け込んで次亜塩素になります。これがさらに分解して塩素と活性な酸素になります。錆腐蝕とは酸化現象なので活性酸素が供給されると通常では考えられないスピードで腐蝕が進むことになります。

PTS防錆キャップ

この処置方法としてPTSリユース工法では、PTS防錆キャップを取り付けます。
樹脂皮膜ボルトに交換すると言う方法もありますが、今あるボルトを電動のカッター等で切断して撤去しないといけないので非常に危険で困難で時間もかかります。

PTS防錆キャップ取付後の気相部(天井部)組立ボルト

その点、PTS防錆キャップであれば短時間で安全に作業が済み、さらにボルトを完全真空密閉状態にしますので錆の進行を止め、錆片・錆汁での貯水の汚染もなくなります。

これを内部気相部ボルト防錆キャップ取付工事と呼びます。

FRP貯水タンクの外部の劣化現象

FRPパネルタンクは比較的屋外に設置されることが多く、劣化の度合も屋内設置のものと比べて進行するのが早くなっています。
劣化が進行するとFRPパネルが変色・退色して行きます。さらにFRPの補強母材のガラス繊維が露出してキラキラ光って見えてくるようになります。

劣化が進行してガラス繊維が露出しているFRPパネルの表面

要因としては、FRPを構成するポリエステル樹脂は、太陽光線中の紫外線や熱・風雨等の作用で活性化し、樹脂は酸素と結合して不安定な化合物を形成します。この反応が繰り返されて劣化は進行して行きます。
さらに酸性雨で加水分解が発生したり、冬季にFRPに付着した水分の凍結でも劣化がさらに進行します。
FRPのポリエステル樹脂が劣化しているのは、FRP表面を触るとチョークの粉が付いたように指に白い粉が付きます。
これをチョーキング現象と呼び劣化しているのを目視で確認できます。

劣化で白い粉が指に付くチョーキング現象

さらに劣化が進行するとFRPパネル内部のガラス繊維がキラキラ光って見えてきます。ガラス繊維が露出して、風が吹くだけで空気中に飛散して行きます。こうなると点検や貯水タンク清掃の時に人の皮膚に付着すると毛穴に入りチクチクと痛みます。当然FRPのパネルの厚みも薄くなって行くので強度が低下し、上に乗るとフワフワした感じになります。また弾力がなくなりますので下手すると上に乗るだけだFRPパネルを踏み抜いたりします。

劣化した天井部FRPパネルの踏み抜き

この写真では、全体にガラス繊維が露出していますが、取出し口をハンドレイアップ、つまり手作業でFRP樹脂ライニングしている部分は、あまり劣化していません。FRPパネルタンクはプレス成型で品質を一定に保つためにポリエステル樹脂の他に炭酸カルシウム等を添加して製造されています。つまりFRPパネルタンクはその性質上ハンドレイアップで積層されたFRPに比べ劣化度合が著しい訳です。

FRPパネルタンクはその構造上、水圧で外に開こうとするタンクの応力を天井部自体で支えているものがほとんどです。さらに古いタンクは経年で劣化し、強度が低下しているので地震のスロッシング現象に耐えられなくて破裂したりします。

特に天井部は側面部のFRPに比べて軽く作らないと行けないので、板厚が薄く強度も落ちるので、外部天井部FRP樹脂ライニング工事で補強する必要があります。