この間、実家に親の顔を見に行ったときに、会社の様子を父に聞かれました。
ブログって言うのを書いて、少しでもFRP水槽の補強・補修がどれだけ大事かを伝えて行こうとしてるって話しをしました。
それならこんなのあるぞって見せてくれたのが、この実用新案登録証です。
考案名称は「構成材の構造」で、登録日が昭和42年8月28日になっています。
もうお気づきでしょうか?積水工事㈱からFRPパネルタンクが発売されたのが昭和39年、特許取得が昭和42年と発売及び申請からから約3年間の月日がかかっています。今でこそ特許の電子出願なんてものがあってタイムラグが少ないようですが、当時としては普通か早いほうだったようです。
特許庁の実用新案公報の中から原文を抜粋します。
「本考案は水平方向あるいは垂直方向に接合することによりタンクなどの容器、あるいは壁板等になし得る単位構成材の構造に関するものである。タンクなどの容器は、大きくなればなるほど、これを一体に作り上げることは困難となり、また仮に作成できたとしても運搬、据付、その他の点を考慮すれば、一体に作り上げることは必ずしも得策ではなく、むしろ単位構成材を組み立てることによって作成することが、設置現場で組み立てることができるので、有利な場合が多い。」
つまりパネル状の構成材で組み立てるのが望ましいのだが、余分な接合材が必要であり、さらに接合材の構造が複雑になり組立が煩雑になる欠点があったわけです。
原文のままだとチンプンカンプンなので、簡単に説明すると、1m×1mのFRPパネルを使い、その形状だけで、45度の角度の組み合わせで垂直面もコーナー部分も複雑な接合材なしで、ボルト・ナットのみで締結してしまう画期的な構造体だったのです。
昭和46年11月16日に社団法人発明協会会長代行 井深 大氏(ソニーの創業者の一人。本田技研工業の本田宗一郎氏と並び称される、戦後日本を代表する起業家)から、発明奨励賞を受賞しています。実家の応接間にはこの賞状と盾が飾ってあります。
父は今年で84歳になりますが、おかげ様で元気に暮らしております。
ずいぶん昔に「お前は、FRPパネルタンクを見かけたら親父のことを思い出せるなあ。」なんて言ってましたが、思い出すどころか、無くならない様に補強・補修する仕事に就いてます。
「親父が作ったタンクをその息子が直す。実に素晴らしい!」 と社長はご満悦です(^^;)