FRP一体型タンクの取出口からの漏水

特殊な補修方法の事例をご覧下さい。

貯水タンクは岩谷製のFRP一体型タンクです。
お客様からタンクの配管から漏水していると連絡がありました。

確かにタンクの配管の付け根から漏水しているんですが、実は取出口(とりだしぐち)の根元から漏水しているんです。
取出口とはタンクから配水(給水)を取り出す重要な部分になります。

この取出口は、タンクと一体の様に見えますが、実はFRP製のフランジにボルトを埋め込んでタンクに樹脂のパテで取り付けた物なのです。

まず配管の保温材を丁寧に取り除きます。
ナイロン製ゲートバルブは数年前に取り替えたとの事で、配管の面間の余裕はないものの、何とかバルブの取替無しに作業を終える様に計画しました。

バルブからタンク側の配管を全て撤去して、タンク本体の取出口を撤去します。
樹脂パテで覆われているので普段はその全貌を見ることは出来ません。
撤去すればこの様な穴だけが残ります。

撤去された取出口です。この様にFRP製のフランジからボルトが出ています。
ボルトの頭はFRPのフランジの中に収まっているんです。

斜め横から見るとこんな感じです。このFRP製フランジの中にボルト頭が収まっていると言うのが曲者で、通常時に配管だけを替え様と思って、配管との締結ナット緩めようとすると、長年の経年劣化でナットが焼きついて力を入れて回すと、供回りをして外れないんです。
そうなってしまうと二進も三進も行かなくなり、配管更新は出来ない、漏水はするはで、大変なことになってしまいます。
このタイプの取出口を見かけたら、配管更新はこのままでは不可能と判断したほうが賢明です(-_-;)

さて、そんな不可能を可能にするのが「リユース工法」です。
まず配管の面間が狭いのでステンレスの溶接した配管に更新します。
次にFRP製のフランジノズルをタンク内部まで差し込みます。

この状態では、まだフランジノズルは穴に差し込まれただけで、穴との間に隙間もあります。

配管で支えた状態でFRP樹脂ライニングを施し、貯水タンクに固定します。
今度はFRP製のフランジノズルがタンクの内部まで貫通して内部も外部もFRP樹脂でライニングして固定するので、もう漏水の心配がありません。

しかも取出口から先は、露出したフランジボルトの締結なので、今後配管更新の予定があっても問題なく作業が出来ます。

タンク内部の状況です。これが施工前です。
内側には取出口様の穴が開いています。取出口は基本的に外で留まっている物で、タンクの強度が落ちてくると接続部分にひび割れが出来て漏水していた訳です。

こちらが施工後です。FRP製のフランジノズルがタンクの内部まで差し込まれ、外部同様FRP樹脂でライニングされて固定されているので、強度に優れ、漏水する心配もありません。

外部のFRP樹脂でライニングした部分は太陽光線で劣化しない様に専用のコーティング材で仕上げて行きます。

グラスウールで配管の保温を施します。

その後に配管保温カバーを復旧して完成です。

取出口の根元から漏水していると言う現象から、配管の更新をして、タンクは修理不可能として取り替える事にする場合が多いようです。

しかしながら昔のFRP一体型タンクは工場で職人が木型から丹精込めて作った丈夫なタンクが多いです。昭和時代のMADE IN JAPANです。取り替えるのは、もったいないです!!

取り替えることなく、補修・補強が可能です。諦めないでぜひご相談下さい!

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