貯水タンクの補修事例の前回の続きになります。
このパネルタンクは2槽式で幅3m奥行4m高さ3,5mで42トンの容量があります。
外部は約10年おきくらいに定期的に塗装が施してあり、特に問題ありませんでした。
しかしパネルの接合部と内部補強材の貫通部から、漏水が発生していました。
パネルの接合部パッキンの経年劣化が原因で、漏水は発生しているのですが、問題はもっと別のところにもあります。
水槽の高さが3.5mもあるため、水頭圧(ヘッド圧)が非常に高いのです。
水頭圧とは水位が高いほど強くなる水の圧力の事で、当然、水槽にかかる水圧の負担はタンクの高さが高いほど大きくなる訳です。
今回の工事では、内部パネル接合部FRP樹脂ライニング工事にプラスして内部補強材の取り替えを行います。
その理由は、タンク設置後十数年が経過して、水頭圧(ヘッド圧)からパネルを守る役目を果してきた内部補強材(ステンレス製ステーボルト)が伸びてきて、タンク全体のバランスを崩してしまっています。
これが原因で至る所から漏水しているのです。
施工をするFRPパネルタンクの全景です。
今回の工事は1日の断水で出来る工事ではありませんので、仮設給水を施します。
施工対象となるFRPパネルタンクのすぐ傍に仮設のパネルタンクを設置します。
その仮設タンクの設置ですが、まず足付き架台を組み立てパネルを並べて行きます。
これが底部分のパネルになります。
次に側面部のパネルを順次組み立てて行きます。
中央の作業員が手に持っているのがパネル接合部のパッキンです。
とても柔らかくて弾力があります。これがパネルの接合部の水圧の微妙な膨張・収縮の動きにに追従して、止水も役目を果しています。
古いパネルタンクは多くはこのパッキンが硬く弾力もなくなり、動きに追従できなくなり、漏水が発生する訳です。
施工対象のFRPパネルタンクには周りに足場を作り、飛散防止ネット設置して行きます。
今回の工事では内部補強材(ステンレス製ステーボルト)を交換するんですが、経年劣化でナット部分が焼き付いて、切断工具で切らないと外せません。
その際やはり足場は必要ですし、切断中の火花や埃が近隣に飛ばないように飛散防止ネットを設置しています。
次に組みあがった仮設タンクに飲料水の導入管と加圧給水ポンプへの給水管設置して行きます。
配管は邪魔にならないところに敷設し、ポンプ室の出入り口は仮設のドアを設置して配管だけが通るようにします。
仮設タンクの内部を清掃消毒して、水を張ります。
施工対象のFRPパネルタンクから仮設タンクの配管に切り替えをします。
その後、各ご家庭の蛇口からいつも通りお水が出ているかを確認してから施工対象のFRPパネルタンクの水を排水します。
いよいよ本来目的とする工事の始まりです。
この続きは次回へ・・・